医療機器事業に活路、超高齢化社会背景に右肩上がりの成長

2016年12月29日

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 言い古された言葉だが、テレビのコマーシャル(CM)は時代を映す鏡だ。「お正月を写そう」は富士写真フイルムの正月定番のCMだった。当然、「写す」にはカメラとフィルムが欠かせない。そのカメラが、デジカメに取って代わられて売れなくなった。

 主力商品が売れなくては、企業は成り立たない。しかし同社はいまだに健在だ。医療機器や化粧品など新分野に活路を見出し、それぞれの分野で確固とした地位を築いている。テレビCMを例にとっても、同社は医療器では胃カメなどの内視鏡や乳がん検査には不可欠となったマンモグラフィのCMを盛んに流している。こうした医療機器分野でも確固とした地位を築き、企業業績も順調なようだ。

 医療機器の分野は、超高齢化社会を背景に右肩上がりの成長を続けている。マンモグラフィにしても内視鏡にしても、システムとしての販売、あるいはリースのため、いったん納入にまでこぎ着ければ、保守・管理などのメンテナンスで医療機器本体に負けないほどの売上が継続的に期待できる。

 そのため、医療機器本体の定価はあってないようなもの。仮に半値八掛けであっても受注した者勝ちという業界だ。納入できるかどうかは機器の性能次第なので、各社とも高性能機器の開発にしのぎを削り合う。

相次ぐ医療事業のM&A


 医療機器分野に活路を見出して成功したのは富士写真フイルムだけではない。不正会計が明るみに出て経営悪化に追い込まれた東芝も、医療機器の子会社「東芝メディカルシステムズ」(栃木県大田原市)が悪化の一途をたどる経営を支えてきた。

 同社は磁気共鳴画像装置(MRI)やコンピューター断層撮影(CT)などの性能の高さで定評がある。

 そこに目をつけたのがキャノンで、キャノンは2016年12月、東芝メディカルシステムズを約6655億円で買収すると発表した。

まだまだ続く? 医療事業のM&A


 キャノンは医療事業の将来性に以前から注目していたとされ、今回の買収によって、東芝メディカルシステムズの画像診断などの技術力を活用して医療事業を強化する方針とみられる。

 約6655億円という買収額が高いか安いかはさておき、経営不安からの早期脱出を目指す東芝にとっても、悪い条件ではなかったようだ。

 将来性豊かな医療事業の合併・買収(M&A)は他社でも活発だ。パナソニックは、子会社の「パナソニックヘルスケア」(東京)が手掛ける医療用超音波診断機器の関連事業を、コニカミノルタに売却すると発表した。売却額は数十億円程度で、補聴器事業は別の子会社に移管するという。パナソニックヘルスケアはコニカミノルタと超音波システムの共同開発などを進めてきたことから売却交渉が進んだという。

 超高齢化社会によって危機を脱して新分野に活路を見出して機器を乗り切った富士写真フイルムや東芝の例を見るにつけ、高齢化社会に支えられる医療機器関連事業をめぐるM&Aは、企業業績の今後を占う上でもウオッチしていく必要がありそうだ。(設備投資ジャーナル 編集部)

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