住友金属鉱山、パワー半導体材料の生産ライン増強
住友金属鉱山は9月27日、子会社のサイコックスが鹿児島県伊佐市の大口工場に貼り合せSiC基板「SiCkrest」の8インチ(200mm)量産ラインを構築すると発表した。
SiCkrest(サイクレスト)の6インチ基板は既に販売中で、8インチ基板は2024年9月から顧客認定に向けたサンプル出荷を開始している。量産ラインは2025年度下期に稼働し、月産能力は6インチ換算で1万枚を超える予定。
SiCkrestは、独自の接合技術を応用してウエハーを2層化することで、性能と低コストを両立させた製品。低抵抗の多結晶SiC支持基板の上に高品質な単結晶層を薄く貼り合わせることによって、単結晶の特性を維持しつつ、基板全体における低抵抗化と通電劣化抑制効果を実現している。
SiC(シリコンカーバイド)は主に電力を制御するパワー半導体に使用する材料。従来のシリコンと比較して高電圧に対応可能で、エネルギー損失も大幅に低減できることから、ハイブリッド車や電気自動車などの駆動制御装置で要求する大容量領域(大電流・高耐電圧)で、装置全体の小型化や航続距離向上を後押しできる優れた材料として注目され、市場の拡大が期待されている。
また、SiC単結晶は製造に多くのエネルギーを必要とするが、単結晶と多結晶の貼り合せ基板であるSiCkrestはエネルギー消費を抑えつつ、供給量を増やすことが可能。住友金属鉱山グループは、SiCkrestを温室効果ガス排出量削減に向けた低炭素貢献製品として事業拡大を進めている。
■ 設備投資概要
所在地:鹿児島県伊佐市大口牛尾1742番地2(サイコックス 大口工場)
設備投資内容:貼り合せSiC基板「SiCkrest」の8インチ量産ライン
生産能力:1万枚/月(6インチ換算)
稼働開始予定:2025年度下期