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大日本印刷、米・ノースカロライナに工場用地取得

2023年12月1日

大日本印刷は11月29日、リチウムイオン電池の外装材であるバッテリーパウチを生産する工場を建設するため、米国ノースカロライナ州に用地を取得したと発表した。

 地球温暖化の防止に向けた世界的潮流のなか、各国・地域はカーボンニュートラルやグリーンリカバリー等の政策を打ち出し、国内や欧米・中国等を中心に積極的に電気自動車(EV)の開発・導入を進めている。特に米国では、エネルギー安全保障や気候変動対策を迅速に進めるため、2022年8月に「インフレ抑制法(歳出・歳入法)(IRA:Inflation Reduction Act)」が成立した。これを契機に、EVの導入補助を後押しに市場が拡大しており、車載用リチウムイオン電池の米国内でのサプライチェーン構築に向けて、電池や部材等のメーカーによる米国への積極投資が行われている。

 同社は、長年培った印刷技術の一つであるコンバーティング技術(材料加工技術)を活かし、リチウムイオン電池の外装材であるバッテリーパウチを開発し、1990年代後半に実用化に成功した。現在、国内外の電池メーカーに提供しており、世界トップシェアを獲得している。

 同社は国内で、福岡県・戸畑工場と埼玉県・鶴瀬工場内にバッテリーパウチの生産工場を展開している。海外では、グループ会社のDNPデンマークで、バッテリーパウチのジャンボロールのスリット加工を行う工場を新設するなど、適地生産・供給体制を構築している。こうした状況を背景として今回、さらなる伸長が見込まれる米国市場の需要に対応し、新たなバッテリーパウチ工場の開設に向けた土地を取得した。

 新生産拠点は2026年度の稼働予定。今回の工場用地取得と、スリット加工ラインの導入に100億円規模の投資を計画する。その後、市況や需要に応じて、同一敷地内でのジャンボロール製造も視野に入れて検討していく。

 同社は、2025年度までにリチウムイオン電池用バッテリーパウチで年間約1,000億円の売上を目指す。今後も、同製品のほか、各種環境配慮製品の開発・製造をさらに進めて、脱炭素社会の実現に貢献していく。

■ 用地取得概要

所在地:アメリカ合衆国ノースカロライナ州デビッドソン郡リンウッド市
投資額:100億円規模(工場用地、スリット加工ライン)
事業内容:車載向けリチウムイオン電池のバッテリーパウチの製造
生産拠点稼働予定:2026年度

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