三井化学、岩国大竹工場で設備投資
2024年5月29日
三井化学は28日、岩国大竹工場にEUV露光用CNT(カーボンナノチューブ)ペリクルの生産設備を新設すると発表した。
同社が生産する三井ペリクルは、半導体ウェハーに光を照射して回路パターンを描くフォトリソグラフィ工程で、各露光波長に対して耐光性のある膜材料を選択し、高い透過率を得られるように膜厚設計したフォトマスク用防塵カバー。フォトマスクをクリーンに保ち、半導体の生産性向上に貢献する。
今後、社会全体のデジタル化が進む中でデータ処理を担う半導体には高速処理能力化、低消費電力化が求められ、回路線幅7nm以下の超微細化ニーズが高まっており、微細化回路形成用のEUV(波長13.5nmの極端紫外線)露光技術の採用が本格的に拡大している。同社はオランダASML社からEUV露光用ペリクル事業のライセンスを受け、2021年に世界に先駆けて岩国大竹工場でEUVペリクルを商業生産している。
採用が拡大しているEUV露光の次世代技術として、高NA、高出力化が求められている。今回、こうした露光技術革新に対応するため、高いEUV透過性と1kWを超える露光出力への耐光性を兼ね備えたCNTペリクルの事業化に向けた量産用設備を設置する。膜材にシリコン系素材を使用した既存のEUVペリクルに加えて、CNTを膜材に使用した次世代製品をラインナップすることで、半導体の高性能化と生産性向上に貢献する。
■ 設備投資概要
所在地:山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号(岩国大竹工場)
対象製品:三井ペリクル
生産能力:年間5,000枚
完工予定:2025年12月