積水化学工業は12月11日、カナダ・オンタリオ州に鉄骨モジュラー住宅の設計・製造を行う新会社「SEKISUI CANADA MODULAR SOLUTIONS INC.」を設立したと発表した。

　カナダでは積極的な移民政策に伴う都市部への人口集中で住宅不足が深刻化し、住宅価格や家賃が高騰している。カナダ政府は建設工期が短くコスト面の優位性が見込めるモジュラー建築の活用を重視しており、市場拡大と並行して法整備が進む。

　積水化学工業は日本国内で50年以上にわたり累計67万棟超のモジュラー住宅「セキスイハイム」を供給してきた実績があり、設計ノウハウや製造技術、品質管理システムを保有する。2013年からはタイでもモジュラー住宅事業を展開しており、これらの知見を北米市場での事業展開に生かす。

　新会社はオンタリオ州に鉄骨モジュラー製造工場を立ち上げ、2026年7月頃までに設計・製造・販売体制を構築する。オンタリオ州はカナダ人口の約4割が集積する政治・経済の中心で、トロントやオタワ、モントリオールなどを主なターゲット市場とする。モジュラー建築に関する法整備への関与や現地パートナーとのサプライチェーン構築を進め、3年程度でカナダ東部におけるビジネスモデルの確立を目指す。

　当初は移民や留学生の増加で不足する教室需要に対応する低層の学校建築に加え、中層の集合住宅や介護施設向けモジュラー供給を計画する。その後は現地デベロッパーやゼネコンとの協業を通じ、米国の中高層モジュラー市場への参入やカナダ西部への事業拡大も検討する。

　直近期の計画として、2025年12月～2026年3月頃に生産設備導入やモジュラー認証取得など事業立ち上げ準備を行い、2026年4～6月頃に製造テストを実施、2026年7月頃に本格製造を開始する。