工場・物流施設を中心とした設備投資情報を配信

富士フイルム、米国2拠点に2億ドルの設備投資

2023年12月6日

富士フイルムは5日、市場成長が見込まれる細胞治療薬の開発・製造受託ニーズに対応するため、細胞治療薬のCDMO事業を展開する米国2拠点に総額約2億ドルの設備投資を行うと発表した。

 設備投資は、iPS細胞のリーディングカンパニーであるFUJIFILM Cellular Dynamics(以下:FCDI)のウィスコンシン拠点と、バイオ医薬品CDMOの中核会社FUJIFILM Diosynth Biotechnologie(以下:FDB)のカリフォルニア拠点に対して、細胞治療薬のプロセス開発・製造設備などを増強する。

 ウィスコンシン拠点では、現拠点の近隣に購入した土地・建物に、生産プロセスを開発するためのラボ設備、GMP製造が可能な設備・クリーンルーム3室などを導入する。これにより、細胞治療薬のプロセス開発の受託能力を拡大させるほか、生産能力を現状比で倍増させる。

 カリフォルニア拠点では、拠点内に生産プロセス開発のスペースを設置する。さらに、GMP製造設備・クリーンルーム2室を増設するとともに、既存設備も改造することで、細胞治療薬の生産能力をウィスコンシン拠点と同様、現状比で倍増させる。

 近年、CAR-T細胞治療薬など、遺伝子改変細胞を用いた治療薬を中心に研究開発が進んでいることから、細胞治療薬の市場規模は33億ドル(2022年度)から年率30%超で成長することが見込まれている。

 すでに承認されている細胞治療薬は、自家細胞によるものが主流だが、患者自身の細胞を採取・培養して使用するため、投与までに時間がかかり製造コストが高いといった課題を抱えている。この課題を解決するため、ドナー由来の細胞やiPS細胞を用いる他家細胞治療薬の研究開発が活発化しているという。

■ 設備投資概要

【FCDIウィスコンシン拠点】
拠点:FUJIFILM Cellular Dynamics,Inc.
所在地:米国ウィスコンシン州・マディソン
投資内容:(1)土地・建屋
    :(2)細胞治療薬のプロセス開発・製造設備の増強
        ・生産プロセス開発用のラボ設備の導入
        ・GMP製造可能な設備・クリーンルーム(3室)の増設
    :(3)創薬支援用i PS細胞由来分化細胞の開発・製造設備の導入など
敷地面積:約51,000㎡
着工予定:2023年11月
稼働予定:2026年

【FDBカリフォルニア拠点】
拠点:FUJIFILM Diosynth Biotechnologies California,Inc.
所在地:米国カリフォルニア州・サウザンドオークス
投資内容:細胞治療薬のプロセス開発・製造設備の増強
      ・生産プロセス開発スペースの設置とラボ設備の導入
      ・GMP製造可能な設備・クリーンルーム(2室)の増設
      ・既存GMP製造設備の改造など
着工予定:2024年
稼働予定:2025年

このエントリーをはてなブックマークに追加