積水化学工業、ペロブスカイト太陽電池量産/900億円投資
積水化学工業は26日、ペロブスカイト太陽電池の量産化を開始すると発表した。
同社は2025年の事業化を目指し、既存設備での製造を予定していたが、製造コストの削減や生産能力拡大が課題となっていた。今回、経済産業省のGXサプライチェーン構築支援事業の採択を受け、政府が目指す2030年までのギガワット級供給体制の構築に向けた取り組みを進める。2027年には100MW規模の製造ライン稼働を目指して設備投資を行い、その後海外展開も視野に入れ段階的に生産能力を増強する計画。
具体的には、大阪府堺市にあるシャープの本社工場の建物や電源・冷却設備を譲り受け、新会社「積水ソーラーフィルム」を設立し、ペロブスカイト太陽電池の設計・製造・販売を行う。同工場では軽量フレキシブルな特長を持つ製品を開発し、耐荷重性の低い屋根や公共施設を中心に導入を進める。さらに、量産によるコスト削減を通じて民間の工場・倉庫等の屋根・外壁面もターゲットに需要創出を行い、事業拡大を狙う。
また、シャープとの建物売買契約に関する基本合意を締結し、新会社の共同運営について日本政策投資銀行との株主間契約を締結した。
■ 設備投資概要
所在地:大阪府堺市堺区(シャープ本社工場)
投資総額:900億円※補助金込み(建物購入費、100MW製造設備の設備費)
事業内容:ペロブスカイト太陽電池の製造
新会社設立日:2025年1月6日(予定)
販売開始日:2025年度(予定)※現有設備での製造販売
本投資による稼働開始予定:2027年4月1日
◇ GXサプライチェーン構築支援事業の採択内容
製品:フィルム型ペロブスカイト太陽電池の完成品
補助対象:建物等取得費、設備費、システム購入費
補助率:1/2
補助対象経費:総額3,145億円(補助金総額1,572.5億円)
生産能力:1GW級
補助対象期間:2024年11月~2029年2月末
※当事業の申請時点で事前着手届出を行い、公募期間中から事業開始に向けた調整を実施