デンカは12日、がん治療用ウイルスG47Δの事業基盤の強化と将来を見据えた供給力増強を目的として、約120億円の戦略投資を決定したと発表した。

　がん治療用ウイルスG47Δ製剤は、2021年6月、悪性神経膠腫を対象とする再生医療等製品として、厚生労働省より条件と期限付承認に該当する製造販売承認を受けており、同社が製造している。生きたウイルスそのものを製剤化したもので、製造には大規模なウイルス培養技術や特殊な試験技術が必要であり、長年に亘り、ウイルス感染症に対するワクチンと検査試薬の開発・製造を行ってきた同社の技術・ノウハウが活かされている。

　今回、ヘルスケア分野の中核拠点である五泉事業所（新潟県五泉市）に新たな製造施設を設置する。同製品の製造工程開発で得た経験と実績をもとに、新施設と従来施設を活用して、ウイルス製剤を中心に、医薬品の治験薬や製品等を対象とする製造開発受託企業としてのプレゼンス確立・発展にも取組む。

　同社は2023～2030年度の8カ年を対象とした経営計画「Mission2030」で、ヘルスケア分野では700億円の戦略投資枠を定めており、今回の投資はその中でも中核の1つと位置付けて実行する。