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東洋紡、敦賀バイオ工場に新棟建設

2022年11月30日

 東洋紡は28日、敦賀バイオ工場(福井県敦賀市)に遺伝子検査試薬を製造する新工場を建設すると発表した。

 新型コロナウイルスをはじめとする感染症の診断では、ウイルスの微量なDNAなどを検出可能なPCR検査に代表する遺伝子検査が広く活用されている。さまざまな感染症が拡大した際に、PCR検査試薬や遺伝子診断薬の原料の需給のひっ迫を避けるため、国内での生産・供給体制の強化が求められている。

 今回、敦賀バイオ工場に約65億円を投じて新設するのは、研究用試薬棟と遺伝子製造/品質試験棟。高濃度DNAの取り扱いに適したクリーンルームや、研究試薬を効率的に分析・製造できる環境などを備えた施設を建設するとともに、一部老朽化した設備を刷新。これにより、世界的に需要が高まるPCR検査試薬と遺伝子診断薬用原料の生産能力を現在の約3倍に増強する。将来、発生する可能性のある感染症向け検査薬や原料の開発・生産体制の強化を図る。

 同社は1972年、酵素法による尿酸測定用検査薬を開発・発売し、バイオ事業に本格的に参入。1978年に敦賀酵素工場に開発・生産体制を集約すると、1982年には遺伝子工学用の制限酵素などの販売を皮切りにライフサイエンス試薬分野へ進出した。1992年に敦賀酵素工場を敦賀バイオ工場と敦賀バイオ研究所に再編し、1995年に現在の主力製品の一つとなるPCR酵素「KOD DNAポリメラーゼ」を上市した。

 同社はこれまで、ノロウイルスやインフルエンザウイルス、新型コロナウイルスなど、さまざまな感染症のPCR検査用試薬や酵素を開発、販売してきた。サンプルに夾雑物が含まれていても正確かつ高速で増幅可能なPCR酵素や、標的遺伝子を短時間で検出できる研究・診断用試薬などの開発・生産に強みを持っている。

■ 新工場概要

所在地:福井県敦賀市東洋町10-24(東洋紡(株)敦賀事業所第一内)
投資額:約65億円
延床面積・構造:8,250㎡/鉄筋/4階建て(研究用試薬棟)
       :1,760㎡/鉄筋/2階建て(遺伝子製造/品質試験棟)
製品分類:体外診断用医薬品
生産品目:研究用遺伝子検査試薬、PCR 原料酵素、遺伝子、抗体など
着工予定:2023年3月
稼働開始予定:2024年11月

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