大京、石川県小松市に新工場建設
建設機械部品を製造する大京(石川県小松市)は11月17日、新工場建設計画が大規模成長投資補助金に採択され、既存4工場を再編・集約すると発表した。
同社は塗装事業を起点に海外投資を進めてきたが、国内では工場分散による工場間物流の増加やスペース不足、自動化設備の不足などで生産の非効率が課題となっていた。加えて、新興国の建設需要拡大やインフラ老朽化対応、鉱物資源採掘需要の増加に伴い建機市場の伸長が見込まれるなか、主要取引先の世界市場での売上成長やサブアッセンブリー外部委託の要請にも対応する必要が生じていた。
新工場は串町工業団地内に建設し、本社工場として建設機械部品の溶接・塗装・組立工程を集約する。既存の第1工場は受託塗装専用工場、第3工場は部品販売事業(輸出入・梱包)の拠点とし、今江工場と外部貸倉庫の機能も再編する。事業費は61億円で、このうち20億円が補助金となる。
設備投資では、溶接ロボットや高効率塗装設備、工程間搬送レールなどを導入し、生産性と品質の向上、省人化を図る。空調機能を高めた新工場内に材料・購入部品保管スペースを隣接配置し、複数部品の事前組立(サブアッセンブリー)に対応することで、主要取引先との関係強化と売上拡大を目指す。
また、工場レイアウト最適化により製造工程での着脱回数と工場間運搬を削減し、フォークリフト台数を33台から10台に減らす計画。工数削減とエネルギー使用量低減、場内事故リスク抑制を見込むほか、重量物運搬の削減や空調改善を通じて労働環境の改善を進める。
2029年度には既存比で売上高成長率65%、売上高増加額208億円を目標とする。労働生産性は2026年度の1人当たり560万円から2029年度に1055万円まで引き上げ、年平均23.5%の上昇を見込むほか、年平均8.0%の賃上げを計画している。
同社は北陸最大級の塗装設備能力を強みに、建設業界や塗装生産量の変動に対応可能な体制を整え、事業の強靭性とカーボンニュートラル対応、省エネを含む環境負荷低減を進める。
■ 新工場概要
所在地:石川県小松市(串町工業団地)
事業費:61億円(うち、補助金20億円)
事業内容:建設機械部品の製造
